「駄目だ。俺は萌音の手料理が食べたい」


その為に一緒に暮らすことにしたのに…という様な顔つきで言われ、「ええっ!?」と不満そうな声を漏らした。


「簡単なものでいいから。手も掛けなくていい」


だから最初から外食がいいのに…と反論したくなる。

手を掛けなくてもいい料理って何よ…と考えつつも、そこまで譲歩してくれるなら、仕様がないか…と引き下がることにした。


(そうだ、今夜のうちにピラフをセットしておいてオムライスにしよう)


紫苑も好きだった筈…と考え、一人でニヤッとしてしまう。

まさか、そんな一面を紫苑に見られてるとは知らず、夕食を食べ終えて直ぐに明日の夕食の準備に取り掛かった。


昼間買ってきた鶏もも肉を小さく切り、玉ねぎと人参をみじん切りしたものをバターで一緒に炒める。

そこへ洗米して水切りした米を入れて更に炒め、炊飯器に戻してブイヨンと水を加減して投入。

私はトマトライスにするのが嫌だから、そこで蓋を閉めてタイマーをセットした。