幼馴染みと、恋とか愛とか

「教えて欲しかったら解雇して。そしたら話すかもしれない」


交換条件のように指定すると、紫苑の目線がさっと振り返る。
デスク上に置きっ放しにされてる封筒を見遣り、少しの間考え込んでた。


私はどうせ、その封筒を彼が受け取るつもりなんてないと思ってた。

紫苑は私を解雇してまで、私の中に踏み込むことはないだろうと考えてた。


踏み込んだら最後、幼馴染みとしての関係が壊れるかもしれないと、彼も分かってる筈だと感じてた。

だから、敢えてそういう言い方をしたのに__。



「分かった。この願いは受理してやる。だから話せ」


振り向いた紫苑の表情は渋かった。
そういう顔つきになっても、私の中に踏み込んできたいと感じたのか。


(訊かないで欲しかったのに……)


残念そうに溜息をこぼす。
だけど、紫苑の様子に変化はなかった。


「本当に受理するの?話した後でナシとか言わないでよ」


「言うか。ガキじゃあるまいし」


いいから話せ、と再度言ってくる。
なるべく緊張せずに話したいと思う私は、バリスタマシーンでコーヒーを淹れてから…と勿体ぶった。