幼馴染みと、恋とか愛とか

昼食休憩までの間、社長室には訪問者もなくて静かだった。

私は自分が今日限りで仕事を辞めるつもりでいたから、後を紫苑に引き継げるよう、黙々と仕事を続けていた。


十二時になり、それを知らせる柱時計のオルゴールが鳴り出す。
もうそんな時期…と顔を上げると、紫苑がじっとこっちを見ていた。


今日はお弁当を作って来てない。
そんな気分にもならなかったし、第一食欲も湧かなかった。



「萌音は昼メシはどうするんだ」


立ち上がりながら訊かれた。


「どうって…此処にいるよ」


退社までひたすら仕事をやりこなそうと思ってるんだから。


「食事は?」


「食べない」


「は?」


「欲しくないから」


「お前……それじゃ体に悪いだろ」


「平気。一食抜いたくらいどうもない」


本当は昨日のお昼から水しか飲んでない。
以前、支店長に襲われた後も、同じように数日間食事が喉を通らなかった。


「萌音」


「いいから。放っておいて。し…社長は食事に行って構いませんから」


紫苑の言葉を遮るように言って、バリスタマシーンへ進む。