幼馴染みと、恋とか愛とか

「先生を呼んできます!」


よろけそうになりながらも立ち上がって走り出した。

俺は腕の中の萌音を見つめ、ぎゅっと大事そうに抱き締めた。


幼い頃、まだ赤ん坊だった萌音をこうして抱いてやった。

可愛くて可愛くて堪らなくて。
誰にも渡すもんか、と子供ながらに思った。



(今だって)


萌音は大事な女なんだ。
誰にも譲れない俺の宝物なんだから。


ハッ…と急に何もかもが合点がいき、俺は萌音の身体を離した。
萌音の顔から爪先までを見つめ、後頭部に出来たコブに触れた。



(お願いだから骨折とかしてるなよ)


俺は今気付いたことがあるんだ。
それを萌音に伝えないと、多分一生後悔すると思う。



「萌音」


必死に名前を呼んでみたが反応はない。
俺はその耳元に唇を寄せ、「しっかりしろ」と何度も囁き続けた。