幼馴染みと、恋とか愛とか

此処に萌音がいたらマシーンで淹れてくれと頼めるんだが、生憎社食へ行ってしまったからな。


「自分で淹れるのも味気ないし」


夜中は仕様がなく自分で淹れることもある。
でも、俺が淹れるコーヒーよりも萌音が淹れた方が何故か美味くて。


「あーあ、俺やっぱり胃袋掴まれたのかな」


あの萌音に…と笑ってドアを開けた。
同じフロアにある自販機コーナーは廊下から奥まってて見えにくい。

よくあそこでカップルがイチャついてる場面を見ることがある。
例えば午後十時過ぎとか夜が多いんだが。


(ん…?)


今日は昼間からか?と呆れそうになった。話し合う声が聞こえ、足音を忍ばせて近付いた。



「可愛いなぁ。泣いてるの?」


男の声でそう聞こえ、頭の中に一人の男性が浮かんだ。



(この声は…)


まさか…と思いながらゆっくりと壁際を進み、そぅっと顔を覗かせようとした。


「くすっ。その震えてる唇にキスしてもいい?」


(なにぃー!?)


ばっと通路を覗いたら萌音が顎を掴まれてる。
首藤は見たこともないくらい険悪そうな雰囲気で、俺は萌音が危ないと分かった。