「三日に一回と言わず、毎日でもいいから作ってくれよ」


おでんを食べさせた三日後、紫苑はいきなりそんなことを言い出した。


「へ?」


私は驚きで目を見張る。
あんぐりと口を開けたままでいると、「鯉みたいだ」と指を差されて笑われた。


「紫苑が変なことを言い出すからでしょ!毎日でもいいなんて、無理に決まってるじゃない!」


「無理か」

「無理よ」


嫁じゃあるまいし、と呟けば、じっとランチケースを見ていた紫苑がぼそりと「そうか」と呟く。

てっきり納得したんだと思い、「そうよ」と言い返したら……



「萌音」


くそ真面目な声で名前を呼び捨てるもんだから、面倒くさそうに返事した。


「何よ」


文句でもあるの!?とファイティングポーズを決めようかとしてた。
ぐっと掌を拳にするのを見た紫苑が、一度唇を噛み締めて。



「俺の嫁になれよ」


急にフリーズするような言葉を発し、私はピクッと眉を動かす。


「な…」


何言ってんの!?


とうとうやっぱりトチ狂った。
紫苑は働き過ぎで過労死する前に脳みそがおかしくなったんじゃ……