「ごめんなさい」
今まで、自分に怒ったことがなかった、忠実な、犬が、噛み付いてきたら、ハートの女王は、おじけずいて、静かに謝り、教会をあとにした。
ハートさんも、一礼して、ハートの女王と一緒に帰っていった。
騒々しかったね。
みんなと、目を合わせた。
そして、ひとつ疑問が残った。
なぜ、私は、泉の水が扱えたのか?
私は、女神では、無い。
一般人だ。
そして、フッとある言葉が戻ってきた。
《もし、その姿や、能力が……『神様』のせいだったらどうする?》
エリックの、言葉は、本当だったのだろうか?
ブツブツ考えていると、
「どうしたの?アリス。」
人間になった、チェシャが、声をかけた。
一瞬ビクッとなったが、なんともない顔をして、
「何でもないよ。」
と言って笑った。