『そうか…』



「柚には先日休学等、今後の事を
今まで言えなかった部分を伝えて
ご両親とも話をさせて頂きました

その際私に引っかかっていたものは
休学をする際、
2年以内に復学をするという条件が
付いているという事でした

今回のことで次柚に万全で学校に
通ってもらえるのは
移植が終わってからではないかという
結論になりました。

これ以上学校の忙しさの中で
もし移植のチャンスがあった時
体調が優れないなどのことがあれば
今までの努力が水の泡となります

それらを考えた時
大学を辞めるという決断を
しなくてはならないと思います」



『龍くん…
私たちにとっても貴方にとっても
とても辛い言葉を
正直に伝えてくれてありがとう。
もちろん柚が一番辛いわよ
それでもこうしてそばで支えてくれている
龍くんがどれだけ辛いか…
私たちにも計り知れないわ。
こんな時側にいてあげられなくて
ごめんなさいね…
近いうちに一度柚と貴方に会いに行くわ』


『龍くん。
とても辛い決断だ…君にとっても
我々にとっても矢野先生にとっても…
それを伝えて結局は柚が決めることだが
君と矢野先生に伝えられて
柚も無理だと気付いてしまうんだろうな

決して君のせいではない。
これだけは忘れないでくれ。
君がどれだけ柚のためにしてくれたか
柚事を考えていてくれたか。
私たちにはちゃんと伝わっている

君のような素敵な医師に出会えた事
我々も感謝している
柚のそばに居てやってくれ
私たちにどれだけの愚痴も弱音も吐いてくれ
君の第二の両親として
君にできる最大のことだ。

決して抱え込まないように。
柚と同じように君も愛してるから』



「っ……
ありがとうっ…ございますっ」


『妻も言ったように
近いうちに時間を作って日本に戻る。
それまでの間柚を頼んだよ…』



「はいっ…任せてくださいっ」


優しい2人の言葉に涙が止まらず
その後も優しい言葉をかけてくれた…





電話を終えてもしばらく涙は止まらず
俺の心の中に消えかけていた
芯の気持ちを思い出させてもらえた気がする




何より辛いのはご両親と柚だ…


俺が1人でメソメソしてられない…



傾き沈みかけた気持ちを
少しだけ持ち上げられた気がした