ママとパパを見送るために
久し振りに外に出た


もちろん本調子じゃないから車椅子に
酸素チューブをつけてマスクも。




仕事が休みの龍にわがままを言って
中庭を少し散歩することにした



「柚どう?久しぶりの外は」



「広いなぁって思う笑
太陽の光も人の声も新鮮に感じる」



「そっかぁ」


そう言ってベンチの隣に車椅子を止めて
龍は隣のベンチに腰をかけた



「ねぇ龍?」


「ん?」


「暫くチューブ外せないんでしょ?」


「んー…暫くとは断言できないけど
色んなことがあってまだ少し体が
そわそわしてるから
落ち着いてきたらって感じだね」


「そっかぁ…」


「そんなに嫌?」

「んー…嫌っていうか…
嫌じゃないの?龍…」


「え…俺?」

「ただでさえベッドで冴えない顔してるのに
チューブもして可愛くないポイント
どんどん溜まっちゃう……
こんなんだけど可愛いところしか
見せたくないって思ってるし…」




俯いた私の顔が持ち上げられたと思ったら
おでこに軽く触れるキスを落とされた


「こんなところでそーんな可愛いこと言って
どうされたいの?笑
チューブしてるからって可愛くないなんて
全く思わないよ。
冴えない顔じゃないよ。

具合悪くて辛そうな時はあるけど
たまに甘える柚も可愛いし
どんな時も可愛いと思ってるから。」