ーヤツは私に何も聞かなかった。
「あ、そう言えばホットミルクもできるよ?」
手を繋いでソファーに導かれた私は大人しく座った。
…離れた手を見て、また、…寂しいと思った。
「……。牛乳、きらい。」
「ふっ。子供か。」
馬鹿にしたくせに言い方は優しい。
タバコに火をつけてゴチャゴチャになってる感情と頭をいつもの私に戻そうと落ち着いた。
「ん、熱いから気をつけてな。」
差し出されたウサギを受け取る。
「ありがとう。」
「ん。」
「あの、私ほんとうにこれ飲んだら帰る。」
「わかったよ。」
思ったより呆気なく了承をもらってびっくりしたけれど、
私はどうやら無事に帰れるらしい。
