ーチャリンー
いつもの場所に鍵を置いて、コーヒーを煎れにキッチンに向かった。
ふっと息をつきながらケトルに水を入れてスイッチを押した。
ちゃんと豆からひいたコーヒーも良いけど、やっぱり私にはインスタントの方が口にあう。
黒の薔薇が描かれたマグカップにコーヒーを煎れて
リビングにあるソファーに腰をかけようとしたとき
ーブーブー
鬱陶しく鳴った携帯をマグカップを置き、手に取った。
「はい。」
「飲み行かない?」
「んー。」
「どーせ暇でしょ?」
「暇じゃない。コーヒー飲みたい。冷める。」
「冷めてるのはあんたよ。じゃ、1時間後いつもの場所でー!」
「まっ!」
ーツーツー
切れてはなんの役に立たない携帯を睨んで雑に投げた。
ああ。めんどくさい。
