「なんだぁ。名字かぁ。ざーんねんっ。」
「……。」
「じゃあくれなおねーさんって呼ぼうか?」
首をかしげてそう聞くヤツは無視。
よし。
無視決定。
「くーれーなーおねーさん?」
「……」
「くーれーなーさーん?」
「……」
「くーれーなーちゃーん?」
「……」
「くれな。」
っ!
あの時みたいに急に声を低くするのはやめて欲しい。
思わず口をぎゅっと噛んで睨んだ。
「くち、噛むな。」
スッと私に近づいてきて、私の唇に触れる長い指に身体がビクッとなった。
「やめろ。くち、傷つくだろ。」
「……。」
力の入った歯を緩めると、
「ん、いい子。」
目を細めて微かに優しく笑うヤツがいた。
