訳が分からない。
急に家に連れてこられて、説教まがいのこと言われて、そして引き止めてキス…。
コイツといると普段使わない脳みその部分まで使ってる気になる。
…。もういい。やることやってさっさと帰ろう。
「ヤるんだったら早く終わらせて。」
きっと私は今とてつもなく冷めた顔をしているのだろう。
「っ!」
「……。」
「…はぁ……。お前。なんで震えてた?」
本当にいい加減にして欲しい。
「関係ない。」
真っ直ぐヤツの漆黒のどこまでも堕ちていきそうな瞳を見つめる。
「ある。」
「は?…なによ。…なら私の名前知ってる?年齢は?普段何をしている?どう?何も知らないでしょ?私、アンタみたいに他人のくせに図々しい奴が大嫌いなの。」
「なら、教えろよ。全部。」
「それで、はい。教えます。ってゆーほど馬鹿じゃないのよ。」
「なら、なんでその他人に無理矢理されたキスは抵抗しないんだ?」
「ふーん。無理矢理って自覚あったんだ。」
「お前、腕掴まれた時は怯えるような顔してたのにキスは別ってか?」
「それもアンタには関係ない。」
「ある。」
「ね?関係ないってどういう意味か知ってる?関係が、ないのよ。アンタとは何の繋がりもない。もう埒が明かないからヤらないなら帰るから。」
…見つめる漆黒の瞳が微かに揺れた気がした…。
「……。」
軽く瞳をとじてヤツは言った。
ーーーー「ヤるなら帰らないんだな。」
ーいつの間にか妖艶な漆黒に変わった瞳に気付かぬ振りをしてしまいたい。
