心拍数

ーリュウキsideー

綺麗だと思った。
雨が止みそうもない夕方に、濡れることを嫌がりもせずに歩く女。
いつもは女なんか目にもくれないでいるのに。

身体が勝手に動いた。

「あの!濡れますよ!」

なんで声なんかかけたんだ?

気味が悪い自分に笑えてくる。

「……。」

無言の女は不思議そうな顔をして俺を見た。

突然に合った瞳。
でかいその瞳はどこまでも黒くて主張が激しい。
程よくふっくらした赤い唇は綺麗な曲線を描いている。
ヒールを履いているから背の高さは正確には分からないが、
きっとそんなに大きくはないだろう。
腰まである長い髪はもう既にほとんど濡れている。

「傘、良かったら使ってください。」