さよならは言わせない

結婚したら、一気に”普通”じゃなくなるんだろうな。

結婚の事がなかったら、普通より少しだけ裕福な家の女子高生なんだけど。


「ねえ、凛は結局どういう人が好みなの?」


結菜が可愛いぴんくの唇を尖らせて、首を傾げた。

耳の下で二つに結んである、ゆるく巻いた毛先がさらりと揺れる。


「んー、優しい人?」

「何で疑問形なの」


花が切れ長の瞳を呆れたように見開いて突っ込んで来る。


顔が良くて性格がまともなら何だっていいよ、なんて言われたらキミたち引くでしょ?



「えっ!うそ!」

「ヤバっ」


驚くような声と、小さな歓声が廊下から響いて、こちらに近づいて来る。



「・・・もしかして、王子来た?」


花があからさま過ぎる女子の反応にちょっと引いていて、結菜は「え、私も見たいんだけどっ」と目を輝かせた。


「せっかくだし、見に行こっか」


興味無いけど、興味あるフリをすることで友達と共通の話題を作る。

盛り上がれることが一つでも増えたら、思い出が増える。


きっとそれが私が大人になった時、心を支えてくれるから。


「行こ行こっ」


結菜が面倒くさそうにする花の腕を引っ張り、花と私で苦笑いしつつドアに向かう。