さよならは言わせない

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「今日転校生が来るらしいよ」

「そうなの?急じゃない?」


高校3年生の春に転校して来るなんて、何やらかしたんだって感じ。

私達だけじゃない。

朝の教室はきっとその話題で持ち切りなんだろう。心なしか皆浮き足立っていた。


「しかも、見かけた子曰く、”王子”らしいんだけど」

「・・・王子?」


王子とはまた・・・夢見がちな感想だね。

もっと具体的にアイドルのなんとかクンに似てる、くらい言ってくれた方が妄想膨らませてドキドキ・・・することはないか。

自分に恋愛をする資格が無いってことは重々承知。

手に入らないブドウはすっぱいと思い込むようにしてるの。

だから、こういう話題は苦手。


「もう、キラッキラ。テレビで見るイケメンよりイケてるって」


それは絶対言い過ぎだよ。

なんて水をさすのはよくないね。


「そっかー。うちのクラスだといいよね」

「ねー」