さよならは言わせない

「別に許嫁までは良かったんだって。だけどさ、許嫁がコロコロ変わるのは受け入れられない。政略結婚で明日からこの男の嫁になれって言われた方がまだ受け入れられる」

「逆にその方が無理あるだろ」

「ううん、だって、それならその人一人だけを夫として受け入れて、覚悟して、納得すればいいでしょ?その作業を何回もするなんて流石に無理だよ」


叔父さんは分かりやすく絶句した。

可愛いたった一人の姪っ子に求められることが、どれだけ残酷な事かさっきより理解を深めることが出来たからだろう。


「お祖母さんにさ、流石にちょっと言ったの。コロコロ許嫁変えないで欲しい、無理なら結婚相手が確定するまで私に何も言わないで欲しいって。けど、顔合わせが必要だしより良い相手が居たら変えないのは無理だって」

「・・・・・・」

「しかも、彼氏が変わるのと同じでしょ、みたいなこと言われたんだけど、全然違うよ。自分の心が変わるのと、相手が変わったから心を頑張って変えるのとは、全然違う」

「俺が姉さんに言ってやろうか?」

「ううん、やめて。心の整理がつくか、他の選択肢を選ぶ覚悟が出来るまでここに置いてくれるだけでいい」

「わかった。けどな、俺はお前の味方だから。助けが必要な時は言えよ?」

「うん、ありがと」

「ここに来てんの、姉さんたちは知ってんのか?」

「うん。言っておいた」


両親なら、祖父母に私が家出したことを知られたくないから、叔父さんのところで暫く世話になると連絡しておけば大事にはしない。

学校にさえ通っていれば、特に文句は言われない。