アストライア魔法学校の編入生

およそ2時間後・・・

890・・・930・・・999・・・人

(あと1人・・・。)

悩みに悩んで、最後のひとりの名前を書き終えた魔子はそっとペンを机に置く。

吾羽の顔を見上げると、ひどく驚いたのか

メロンパンを食べていた手が止まっていた。

「・・・お前の気持ちは、よーくわかった。

ほんとにお前はこの学校のこと、好きなんだな。



す、すごいな。」

「・・・一応、生徒会長だから。

あの・・・1つ思ったんだけど、

これ誰がどう判定するの?」

今日来たばっかりの転校生が、

この学校の生徒の名前を把握しているわけがない。

「・・・さぁなー。俺知らないしなー。」

「・・・え?

私がこれ書いた意味って・・・」

「・・・特に意味はねぇーよ。

ただ、俺はお前を試したかった。

お前が生徒会長としてこの学校のことを、

どんくらい知ってんのかってことを。

そしたらお前、本気で生徒全員の名前書いたから・・・



俺、ちょーびっくりしちゃった。」

「・・・使った2時間返して欲しいんだけど。」

少し怒り気味の魔子に吾羽は

ごめんごめんと謝りながら、

「・・・でも、おかげで会長がこの学校のこと

すっごい好きってことは伝わった。」

「・・・なら、よかった。

疲れたから、寝てもいい?」

疲れ果てて眠ろうとする魔子を吾羽が止める。

「・・・まてまて。

お前は俺を会長にしたいんだろ?」

「・・・うん。」




「・・・ったく、やってやるよ。

生徒会長ってやつ。

ま、お前みたいに、

そこまで完璧にはできねぇーけど。」

ニッと子犬のような笑顔を見せる。

「・・・ほ、ほんとに?

あ、ありがとうございます。」

「・・・おう。てか、なんで改まってんだよ。

お前のその根性に惚れたからな。

・・・俺がお前と、この学校を引っ張ってやるよ。」

八重歯をちらっと見せながら笑いかける。

「・・・!」

生まれて初めてそんなことを言われた魔子は、

耳まで赤くなり、心臓がバクバクと音を立てる。

これが、なんの感情なのかそれすら分からない。

「・・・ん?どーした?」

「・・・なんでもない。

じゃあ、よろしくね。兼城くん。」

「・・・吾羽って呼べよ。」

「・・・じゃあ、吾羽くん。よろしく。」

「・・・ま、それでいいや。

天月・・・だっけ?」

「・・・うん。」

「お前、いい笑顔すんじゃん。


・・・その笑顔も会長の俺が守ってやる。」

再び、魔子の心臓がバクバクと音を立てる。

「・・・う、うるさい。いいの。

このままで。」

「・・・ふーん。ま、よろしくな。

俺のサポート頼んだぜ、天月。」

彼は意外にもあっさりと会長を請け負った。

その後、生徒会長申請書を学校側は断る訳もなく

むしろ嬉しそうに素直に受け取っていた。


そして、編入生・兼城吾羽と

前生徒会長・天月魔子の生徒会の日々が始まった。