扉を出る直前、彼は。

「迷惑じゃないなら…………いいですか?」
「え?」

 最後が小さい声だったから、うまく聞き取れない。

 早瀬君は、少し顔を赤くするとこう言った。

「迷惑じゃないなら、明日も来ていいですか?」


『明日も来ていいですか?』


 その言葉に反応し、私もこう言った。

「明日も……来てくれますか?」

 早瀬君は、少し間を置いてうんと頷く。

 そして、私の好きな控えめな笑顔でこう言った。


「楽しみにしてる」