彼はとても頭がいい。テストも基本上位にいる。

 私も、何度か教えて貰ったことがある。

 教え方が本当に上手で的確、なおかつ分かりやすい。


『分からなかったらまた教えるよ』

 いつも教えてくれたあとにはそう言ってくれる。

 ……そんな彼は、私の好きな人。

 教室でもミステリー小説か勉強をいつもしている。

 表情も変えることがあまりない……いわゆるポーカーフェイス。

 そんな姿すら様になっているのだから、羨ましいを通り超えてちょっとずるい。

 そんな彼は、放課後の図書室でのみ、ほんの少し表情を変える。

 特に、笑った顔が綺麗で。

 きっとそれは一目惚れ。

 彼の意外な一面を見ているような気がして、私だけの特権であるような気がして、嬉しかったんだ。

「………あ」

 時計を見たら、もう16時35分。

 そろそろ図書室閉める用意をしとかないと……。

 机の上を片付けながら、荷物をまとめていく。


「弓木さん」
「は、はい」


 突然名前を呼ばれて、驚く。