授業が終わった放課後、教科書やノート、ペンケースなどを詰め込んだ荷物を持ち、教室を出る。
「失礼します。図書委員長の弓木です。図書室の鍵を借りに来ました」
そういって、職員室の入口近くにある図書室の鍵をとる。「失礼しました」と一礼してから、出ていく。いつものルーティン。
廊下を歩いているとすれ違う先生が、笑顔で「お疲れ様」と声をかけてくれる。この瞬間が、ほんの少しだけ嬉しかった。
北校舎の職員室から歩き、南校舎1階の廊下の突き当たりにある図書室にいく。
靴を靴箱にしまい、鍵を開けて電気をつける。
放課後の図書室は図書委員長である私、弓木遥(ユミキハルカ)1人で当番をする。
毎日毎日、任期が終わるまで続けるのだ。
今、3年生の11月。任期終了は12月。だから……あと1ヶ月。
あと1ヶ月で図書委員長を終えるのだ。

