私は三条雪。

町奉行である青山武蔵様の与力の娘よ。

仕事で青山様と遠出をしていた父さまが今日帰ってこられるの。

朝から母様がとてもたのしみにしていたわ。


「お雪、武人様のお迎えの時間ではないかしら?行かなくていいの?」

「今から行ってきます。武人、怪我していないといいのだけど。」

「お稽古だから仕方ないでしょう。あなたも習いますか?」


冗談じゃないわ。私は女の子だもの武道はしなくていいと思うわ。


「いいえ。私は女の子です。武道をするのは武人たちだけでいいと思うわ。」

そもそも私、武術はあまり好きではないしね。

「ふふふ。分かっていますよ。冗談です。さあ、おときを呼びにいってらっしゃい。」

「はい母様。行ってきます。」