放課後、青山先生に呼び出された。
いつも数学準備室でお説教を受けるのだが今日は職員室に来るように校内放送で流れた。
下駄箱で放送を聞いた私は帰ろうかとも思ったが、他でもない青山先生の呼び出しには応えなければと溜息をつきながら職員室に向かう。
「おー、」
廊下に立っていた青山先生は片手を挙げて、私を手招きした。
「波木、帰ってなくて良かったよ」
青山先生の隣りには見慣れない金髪の男の子がいた。卒業生だろうか。
「こいつ、東都大1年の倫也(りんや)。うちの卒業生だから遠慮せずに色々聞くといいよ」
「宜しく」
「宜しくお願いします」
倫也(りんや)くんはウルフカットの金髪に、長い前髪で右目は隠れていて、左目は二重瞼でお人形のように睫毛も長い。
高い鼻と薄い唇にとても小顔である反面、体格はよく、なにかスポーツに励んでいるのだろうか。
「倫也、波木のこと頼むな」
「ん」
無愛想ではあったが、青山先生の知り合いであれば良い人なのだろう。
私たちは目を合わせて会釈した。



