ひんやりとした手が、私の手に優しく触れた。
「傷付けてごめん」
「…新藤さん……」
「今夜、全てを話すつもりだった」
傷付けたのは私の方なのに。
あなたはまだ私の心配をしてくれているのか。
「私も、話すつもりでした」
あなたが好きだと気付いた恋心と、
兄のことをーー
「良い雰囲気のところ悪いけど、あんたには絶対に、妹はやらん」
新藤さんの手当てを終えた兄は彼の手を振り払った。
そして無理やり立たされた私と彼との間に割り込み、乱暴に言い放つ。
「まさか、俺を探し出すために、妹を利用したわけじゃねぇよな」
胸が切り裂かれたように、私は新藤さんを見下ろした。
そしてそっと頷いた新藤さんを前に、唇を噛み締める。
あの夜、確かに私の意志であなたを助けた。
しかしあなたは、波木秋の妹である私に故意に近付いたというのか。
波木秋に近付くため、私に優しくしたの?
その掌の上で踊らされていた私はひどく滑稽だったろう。



