大人のあなたに届かなくて。





7時14分。


目を覚まして時計を見るとすでに7時をまわっていた。


「寝すぎた…」


「まーいーー!ごはんー!」


リビングからお母さんの声がした。


「わかったー」


私は返事をしてリビングに向かった。



私は早く寝て、今日あったことを忘れたくて急いでご飯を食べ、お風呂に入って自分の部屋に戻った。








「はぁ…」


また、ため息


私は、楓たちがくれたプレゼントに視線を移した。


(あ、そういえばまだ中見てなかったな)



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『きっと元気になれるよ』


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その言葉に期待して中身を見た。


そこには、色紙に沢山の文字が書かれたメッセージカード、お菓子、最近はやってる手作りアルバムが入っていた。


「すご…、このアルバム全部手作りじゃん」


ページを開くと、画用紙で作られた観覧車の仕掛けや、引っ張ると写真が出てくる仕掛けなど沢山あった。


「すごい…!!すごいすごいすごい!!全部手作り!!!私にはこんな器用なこと出来ないなー(笑)」


アルバムを全部見終わり、次に色紙に視線を移した。


そこには、


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『麻衣へ


誕生日おっめっでっとー!!

私より年上になっちったー(笑)

今年はクラス一緒になれて嬉しかった

ねー。また来年も…!なーんて言って

るとならないんだよね(笑)

最近、麻衣の笑顔が増えてきて私も笑

うことが多くなったかなー、これから

も沢山笑ってね!(ケーキ食べて太んなよ笑)

楓より




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「ぷっ、楓残念でしたー(笑)
今年は太るからってケーキじゃなくて私の大好きなリンゴを箱ごと買ってもらいましたー(笑)」


(次はー…)



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『麻衣


誕生日おめ


陸斗



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「えっ!!これだけ!?長い付き合いなんだからもっと書けよ~(笑)」



私は一つ一つメッセージを呼んで冗談交じりのツッコミを入れた。声に出して。


そうしたら楽しくて、先生のことを忘れられる気がした。


どんどんメッセージを呼んで、残りのメッセージは2つになった。


「さーて!次は!だーれーでーs…」


私は目を疑った。


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『波船へ

誕生日おめでとう。波船のバカみたい

な個性、いいと思いますよ(笑)

でも、アイデンティティを失うことへ

の不安も感じましょう。

俺はここで祝ったからな、俺は1度しか

祝わない主義だからな(笑)

では、良い1年を。

百本



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「え…………えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?」



(なんで…!?なんで!百本先生が…)


胸のドキドキが抑えきれない。


頭の中は『?』で埋め尽くされてる。


私は少し冷静になり、頭の中を整理した。


(え?まって、てことは百本先生の祝ったって言葉は本当で、私が勝手に勘違いして先生に怒っ……え!!めっちゃ恥ずかしいやつじゃん!!えなに、自分の勝手な妄想で先生に怒っちゃったの?!情けな!自分情けな!)


嬉しさと情けなさが混じって変な気分だ。


「明日、朝一で先生に謝らないと」


私はすぐ布団に入って眠りについた