「それって、新しい人類ってやつ?」

「言葉の上ではそうです。

もうすぐ彼等が今の人類を駆逐してくれるはずです」

「でも、そんな話し聞いたことないわよ。

いったいその人たちってどこにいるの」

「これから生まれてくるんですよ。

ちなみに、あなたの息子さんがその第1号です。

あなたの運命はあなたの息子さんを生むために必要だったのです。

ですからあの時点で自殺されては困るわけです」

「でも、それって何か凄く悲惨な運命じゃない?

自分のことだけど。

つまり、あたしは顔も見れなかった子供を生むためだけに、

この世に生まれてきたって訳?

しかも、あなたたちの都合のいいようにするために」

「うーん、こちらの言葉だけで理解しようとするとそういうことになりますね。

そういう解釈ではないのですが」

「じゃあ、どういう解釈なのよ。

だいたい、この世界ってなんなの?

あなたの言葉を聞いてると、なんだかあなたたちに実験されているような気がしてならないのよ。

あたしは本当のことを知りたいの。

なぜあなたたちがこの世界に関わっているのか、真実のすべてを」

「やはり、並外れた探求心を持っていますねぇ。

最初の設定がかなり強く残っているようです。

一つ言わせてもらえば、わたくしたちは、あなたたちを使って何かの実験をしているわけでもなく、

支配をしているわけでもないのです。

どちらかと言えば、あなたたちが、わたくしたちを支配しているようなものなのです」