「は?」

 また判らない言葉の連続で答えられ、美雪の頭は混乱した。

「うーん、もっと判り易く言いますと」

「うんうん」

「真面目に聞いてます?」

「すんっごく真面目に聞いてる」

「まあ、いいでしょう。一言で言えば、運命をたくさん作り過ぎたのです」

「運命って一つじゃないの?」

「違います。あなたがた一人一人に一ずつあります。

それらが互いに作用し合っているだけです。

先程も言いました通り、身体に魂を込めるときに、ある程度の揺らぎを含めて運命を封入するのですけれど、その運命同士の関わり合いが複雑になり過ぎて、揺らぎの幅が大きくなって全体が破綻し始めているのです」

「つまり、どういうことよ」

「そうですね。まあ、あなたのことを例にあげれば判りやすいでしょう」

「あたしのこと?」

「そうです。最近、親戚に子供が生まれましたね」

「うん、従兄弟の美華姉に男の子が生まれたけど?」

「それから、学校の友達が失恋しましたね」

「確かに、あっちゃんがそれで随分荒れてたけど」

「そして、今年の初めに母方のお爺さんが他界なさいましたね」