夕方、夕方だけど日は沈みきり、それでもまだ暗くはない。
思うことも、言うことも、聞こえる声ですら吸い取られてしまうのではないかと思うほどガラリと空いていて、それでもって広い。広い裁判所に、私はいた。

「これを持って、高橋奏を家庭的労働、ーーー奴隷の刑とします。」

ざわつきは感じられない。
これが、運命の定めかのように
自分の今座っている席より高いところに立っている男が二人の看守によって連れて行かれる。

誰も見ていなかった。
誰も聞いていなかった。

ただ、一人だけ、私がいた。