会話もあまりなく、料理が運ばれてくると淡々と食べる私達。

年上の男性との会話が思いつかないし、緊張しすぎて喋れないだけかもしれないけれど。

話せない私は海さんの綺麗で長い指を見ていた。

一つ一つの動作が華麗で、ナイフやフォークを持っているだけでも全てが美しく見えて、目が離せないのは何故だろう……。

私はずっとそんなことを考えていたが、突然他のことが気になり始める。


「海さんは甘いもの苦手なんてすか?」

最後のデザートのプレート。
私の皿に乗っていた量とは違い、全部が一口サイズで気になってしまい私は訊いた。

「嫌いではないけど、少し食べたら満足しちゃうんだ。作ってくれた人には申し訳なくなるから初めに減らしてもらったんだ」

作ってくれた人に申し訳ない?
食べれないなら残せば良い。と思っていたら、

「椿さんは女の子だね。俺の倍以上あったのに、あっという間に無くなったから」

笑顔でクスリと返されて、少し恥ずかしくなってしまった。