夕食中に父と母に今日のことを報告した。
父は結婚話が順調に進んでいるので、入籍の日を相談しに行かねばと満足そうに微笑んでいる。

「ハウスキーパーなんですが、ひさ子さんに来てもらっても良いですか?」

父と会話すると苛立ちしか感じないので、母に振ると「えぇ」と了承して返してくれた。

ひさ子さんは私が小さな頃からお世話してくれているもうすぐ七十歳になる住み込みの家政婦さんだ。
海さんとの暮らしが始まるけれど、慣れ親しんだ人が来てくれるのは安心する。




進んでいく結婚。

でも実感はゼロ。


だって私達の結婚は偽物だから。