「此処、気に入りました」

「まだあと三件候補あるけど」

あと三件も用意してたなんて。
彼の時間と労力を使わせてしまったことに申し訳なくなった。

「手間になりますし、本当に気に入ったんです」

「そうか」

リビングを挟んで二つ部屋がある。
お互いの部屋になるだろう部屋が隣同士ではなく離れていてプライベート感がある。
これなら干渉することもなく過ごせそう。

「家政婦は君のところで用意する?」

海さんが訊ねてきた。

あぁそうか。
一緒に住むってことは身の回りのこともあるわよね。
そこも用意しないといけなかった。

海さんにお願いしてばかりじゃ申し訳なく思った私は「そうします」と返した。