お父様は会社を守るために私を売った。

でもきっとこの人は、愛する曾孫を私が幸せに出来るかどうかを見極めようとしている。

全く正反対の私達の家族。


もう神島家の人達に、これ以上嘘は付きたくない……



「……彼と居たら、幸せになれると思ったからです」

目を見たまま、しっかりと答えた。


嘘は付いていない。

でも本当のことは言えなかった。

私は自分を守ることを優先してしまう卑怯な人間だ……。


また質問が飛んでくるかもと身構えるが、沈黙を作った名誉会長。
しかも目も逸らされた。

帰れと言われるかもしれないと覚悟した。