「あのこちら、お口に合うと宜しいのですが」

何を言われるかと身構えながらも、私はとりあえず名誉会長の目の前まで行き、手土産を差し出した。

だが名誉会長は受け取ってくれない。


「君は海をどんな人間だと思う?」

そして投げられた言葉に私は固まってしまう。

だって私が彼と会ったのは、お見合いの日、卒業式、そして今日、たったの三回。

私は彼のことを何も知らない。

言いあぐねていると、名誉会長の視線に気付いて心臓がヒヤリとした。

だって、私の心を見透かすような目で私を見据えていたから。


目を逸らしてはいけない……

それに答えないと……

海さんのイメージは……