Deal×Love

高くて小さい遠慮がちな声。

聞いたことがある声。

顔を声のした方へ向けた私は固まった。


「や、よいさん……」


あの婚約パーティーの時に海さんとキスをしていた人。

海さんが愛した人。

初めてマジマジと見たけれど、清廉で可憐で真夏の暑さに溶けちゃいそうな白い肌。
着ている清純な白いワンピースがとても似合う女性。

それよりも、私の名前を呼んだ。
海さんじゃなくて、私に会いに来たってこと。

何しに、来たの……?


「私のこと、海から聞いてるのね。それなら話が早いわ、海を返して」

細い、敵意剥き出しの目で言われた。
左手の薬指には大きな石のついた指輪を輝かせている人に。


「……嫌です」

私は目に力を入れ、拳をグッと握って返す。