Deal×Love

「盗み聞きした形になったのは悪いけど、聞こえちゃったのよ。でもさ、長引いて傷付くくらいなら、今さっぱり終わった方が貴女のためだと思ったのよ」

真っ直ぐに言われて、益々動けない私。

「大丈夫、二人はもう結婚してるから！もう椿は食べ終わったよね！行こうか！」

アリサが早口でそう言うと、座っている私を引っ張り、立ち上がらせると歩き出した。


「椿、大丈夫！」

私の手を引っ張りながら言うアリサ。


……そうなのかな……じゃあ何で逃げるように今、歩いてるの……？


私が不安になっていると、アリサは足を止めて私の前に立ち、両肩にぽんっと手を乗せてきた。


「ここは海さんにアピールしよう！」

少し不自然な笑顔のアリサ。
きっと私に不安を与えまいと応援してくれているのだろう。


「あっ、そうだ！十日後の海の日にね、花火大会あるらしいよ！」

アリサは突然閃いたのか、持っていた鞄から情報誌を取り出して花火大会のページを私に見せた。