「申し訳ありませんっ!」
次の日のアルバイト。
お水をテーブルに置こうとしたら鈍臭い私は見事にグラスを倒して溢してしまい、頭を下げながらテーブルを慌ててふきんで拭く。
「いいよいいよ、かかってないからね。新人さんなんでしょ?緊張しちゃったんだね」
お客さんのお爺さんは嫌な顔一つせず、私のネームプレートの横に貼ってある初心者マークを見たのか言った。
優しいお爺さんで良かった……。
「椿、ドンマイ。それより日曜日、休みだろ?デートしよ」
何度も謝ってから料理を渡すカウンターまで下がると、洸君がフォローと一緒に流れるように言ってきた。
「……それより、お仕事中だよ」
ジト目になる私。
「でも椿もウェイトレス姿、様になってきたよ」
「……さっき、水溢しちゃったのに?」
「最初はもっと酷かった」
「……」
笑顔で言われた。



