Deal×Love

「ひさ子さん、お料理教えて下さい！」

家に帰ると私は挨拶するよりも真っ先にお願いした。

「あらあら、椿様がそんなことを言い出すなんて。海さんは凄いお人なんですねー」

ニヤけた顔とそんな言葉にももう動じない私。

「海さんに手料理を御馳走したいんです！アルバイトがある日以外は一緒に御飯作りたいです！」

「勿論構いませんよ」

海さんにいつかまともな手料理を振舞えるようになりたい。

そう、今私がしたいのはお料理だ。

その時、ポケットに入れていた携帯が震えた。
見てみると海さんから。
初めてのメール。
嬉しくて顔が勝手に綻ぶ。

『やっぱり帰りは二十二時すぎると思う。晩御飯は要らないよ』

一緒に食べられないのは残念だけれど、なんかこのやり取り、夫婦っぽくない！？

顔が勝手にニヤけてしまい、ひさ子さんに何度も「海さんから愛のメールだったんですか？」なんてつっこまれたが、幸せすぎて私の顔の筋肉は緩み続けていた。