「海じゃなくて俺にしとけって」

「しないよ」


結局洸君と大学に向かう私。
でもこれは洸君の言葉に動かされたのもあるけれど、他人に甘えすぎな生活をやめたいと思ったから。

だってこの暮らしは海さんが結婚してくれたお陰で保たれた。
もし結婚してもらえなかったら今頃私の生活はどうなっていただろう?

アルバイトをしてみて、一時間で八五〇円しか稼げないことを知った。
洗濯や料理を実践してみて、簡単に出来ないことを知った。

海さんに初めにお金を返しますと私は宣言した。
いくら父がお金を受け取ったかは知らない。
でも少しでも父の代わりに私が返していきたい。

だから贅沢な暮らしをしてる場合じゃないと思ったから。




「おっはよー!二人一緒に来てたんだ」

大学の最寄駅でアリサに遭遇。
今日もアリサは私と洸君が居てもニコニコな笑顔で寛大だ。