「わかった。晩御飯は確実に約束は出来ないけど、朝御飯なら」


私はその声にバッと顔を上げた。
不安のせいでいつの間にか俯いてしまっていたようだ。

でも今は海さんのお陰で正反対の笑顔になっている。

「ありがとうございます!」

嬉しくて堪らない。

「椿は正当法で攻めてくるね。俺を押し倒してくれても良いんだけど?」

海さんはいつものように意地悪そうに口角の片方を上げる。

「無理です!」

「あははっ」

今日も意地悪な海さん。
でもこれが本当の海さん。

意地悪だけど、もっと彼を好きになってる自分がいる。

「それよりもお味噌汁、味見して下さい!」

私はお玉を握りながら、お味噌汁を入れた小さなお皿を差し出して訴える。

「それは晩御飯での楽しみにとっとくの。椿が作ってるんだから椿が味見して。それも勉強だよ」

「うぅう……」