「あれ、椿にそっくり。カエルアンコウだって」
そう言って指を差したのは、水の中をゆったりと泳ぐ真っ赤な不細工めのお魚。
「どこがですか?」
私は眉を寄せてそう思った理由を訊ねる。
「顔の色が一緒」
私と赤いお魚を交互に見ながら楽しそうに笑う海さん。
それは手を繋がれていることに緊張しすぎて顔を真っ赤にさせている今の私の顔の色を差しているのだろうか。
遊ばれているけれど、楽しそうに笑う海さんに私の心臓は反応する。
ランチは水族館のレストランに入った。
「椿はお子様ランチにする?」なんてイジメられる私。
この人はいつまで私をイジメる気なんだろうとちょっと不機嫌になっていたら食べ終えた後、
「おいで」
微笑んで手を出されると、そんな不機嫌な気持ちはどっかに飛んでいってしまう現金な私。
もう心の中は海さんでいっぱい。



