Deal×Love

海さんの大きな手と指が私の髪にまた触れてる……。
意識しすぎて、やっぱり心臓は落ち着いてくれない。

鏡に映る私の顔は真っ赤。
耳まで真っ赤。

私は真っ赤な自分を見れなくて視線を下に向ける。

でも助かるのはドライヤーのお陰で私の心臓の音は聞かれていないこと。
何とか平常心を取り戻そうと心の中で「冷静になれ、私!」と言い聞かせる。


五十回位言い聞かせたところで、温風と音が途切れた。


「終わったよ」

「あ、りがとう、ございます……」

笑顔の海さんに鏡越しに言われて、私も鏡越しに返す。

「髪長いね」

終わるかと思った会話が続く。

私の髪は胸の下辺りまで伸びている。

「なんか、切れなくて……」

たまに大変だと感じるけれど、切ったら取り戻すのに何年も掛かると思うと切れずにいる。