私は夢中で絵を描いていたが、ふと気付くとバレー部やバスケ部は片付けをしていた。
見学人も葵も居なくなっていたので、私もスケッチブックとペンをスクールバックの中に戻して、ギャラリーから降り1階の廊下に出た。
そしたら、体育館に続く扉がガラッと開き声をかけられた。
「待って松下さん!片付け直ぐ終わらせるから、一緒に帰らない?」
扉の方を見ると千田くんが立っていた。
私は急な事で驚いて目を見開いた。
「あ、急にごめんね、でも話がしたくて待っててくれない?」
「…分かった、下駄箱の所で待ってるね」
私がそう言うと、千田くんはホッとした顔になった。
体育館の中から千田くんを呼ぶ声が聞こえてきた。
「あ、呼ばれてるね。じゃあ私先に行ってるから」
私は校舎の方に向かって歩いて行った。
下駄箱の所に着き、靴を履き替えた。
そして10分くらいだろうか、私の元に走ってくる足音が聞こえる。
それは千田くんの足音だと分かった。
「遅くなってごめん…待たせちゃったね」
ちょっと息切れして、肩を上下に動かしている千田くん。
「ううん、大丈夫だよ」
私がそう言うと、千田くんはニコッと笑った。
「それじゃあ、帰ろうか」
千田くんはそう言うと靴を履き替えて歩き始めた。
私もそれを見て歩き始めた。

