数学の時間に約束の通り机と机をくっ付け、教科書を千田くんに見せていた。
最初は真面目に授業を受けていたが、千田くんがノートを見せてきたそこにはこう書かれていた。
『さっきはノートありがとう。…松下さんって絵描くの上手だよね?』
よく休み時間とかに描いているのを見た事があるのだろう。
『どういたしまして。そうかな?ありがとう。千田くんもバレー上手だよね?体育の時見たよ』
と私もノートに書いて、千田くんの方に見せた。
『ありがとう!…でも僕はバレー部ではヘタな方なんだよね、よく先輩に怒られてるんだ…』
『そうなんだ、全然そんな風に見えなかったよ?』
『本当?ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいよ』
私は話が終わったと思って、授業に戻ったが右肩をチョンチョンっと突かれたので、千田くんの方を少しだけ向いた。
『よかったら、バレー部の練習見に来ない?』
私は千田くんのノートを見て、何でそんな事を書いたのか分からなくて私は困惑した。
『ごめん、急だったよね…でも松下さんに見に来てほしくてさ!1人で来づらかったら友達と一緒でもいいからさ、ダメ…かな?』
確かに急だ。
でもここまで言われてダメとも言えないのでこう書いた。
『友達と一緒に今日、見に行くね?』
『本当!?ありがとう!ギャラリーで見ててね?他にも人が見に来たりしてるけど気にしないでね?』
『分かったわ』
私は今度こそ話は終わったと思い授業に戻った。
今度は肩を突かれる事なく授業を受けていた。
私は何故か放課後が、楽しみにしているかの様にワクワクしていた。

