いつの間にか、涙は止まっていた。

「俺が来たんだから、もう、一人じゃないだろ。」

「うん!」

ああ、蓮はスゴい。

昔からそうだった。

私は、小さいころから泣き虫で、寂しがりやで、泣いてばかりいた。

そんなときは必ず、蓮が来て、

「大丈夫だよ!沙希ちゃんの涙は、僕が盗んであげる。代わりに、とびきりの楽しいをあげるよ!」

そう言って、得意のマジックを私に見せてくれた。

私は、マジックに夢中になって、気づいたらいつも、涙は出ていなかった。