それはどこまでも優しく

あれはいつだったか、僕がボールを拾いに山に入った時、彼女が血塗れで倒れていた。
僕は幼いなりに彼女を介抱し…いや、彼女の回復力がずば抜けていたのだろう。
彼女は僕が彼女を怖がらないのを知ると、自分の事を誰にも言わないでほしいと言った。
僕は約束を守る代わりに、彼女に色々な事を聞いた。
生まれてから一度も出た事のない島の外の話。

もちろん彼女は全て教えてくれる訳ではなかったが、僕にとっては十分だった。
中でも彼女の秘密を聞いた時程昂ぶった事はない。

昔は人間だった事。
父親に軟禁され、父亡き後怪物の自分を追いかける奴らから逃げ回った事。
そして明らかに生命力が強すぎて人とは時間の流れが違う事…

ある時、生物兵器と呼ばれた事。