授業

「はーい、みなさん。

今日は自己紹介をしていきたいと

思います。」

自己紹介、かぁ...

上手くできるかなぁ...

何言えばいいんだろう...

葉純糸菜です、

好きなことは

料理と絵を描くことです。

よろしくおねがいします。

「はーい、葉純さん、次ですよ」

え、ウソッ

「は、はーい...」

「え、えーっと...」

視線がぁぁ...

でも、やんなきゃ。

我慢してたら、壊れちゃうもんね。

何故か、香山君の

さっきの笑顔がよみがえる。

あ、そっか...

さっき、香山君も

言ってたじゃんか...!!

顔をあげて、笑顔をつくる。

「え、あ、

は、葉純糸菜です

好きなことは料理と絵を描くこと

です... よろしくお願いします」

い、言えたぁ...

拍手が返ってきたところで

安堵する。

友達、できたらいいなぁ...


キーンコーンカーンコーン


私のあと、5人ぐらいが

終わったところでチャイムが鳴る。

あ、もう授業終わったんだ...

「はーい、じゃあ

続きは次の時間ねー。」

そういうや否や、

休み時間のざわめきがまた

戻ってきた。

「ねぇねぇ! 糸菜ちゃん!」

ふりかえると、

明るい笑顔にポニーテールが

よく似合う女の子がいた。

「え、な、何...??」

「一緒に遊ぼうよ!」

「え、いいの...??」

「私のこと、わかる?」

「んーと、えと、」

「あはは、わかんないか(笑)」

「あ、花凛!
花凛もこっちおいでよ!」

「ん?」

花凛、と呼ばれた女の子は

ボーイッシュなショートカットの

似合う綺麗な子だった。

「あ、あの...!!」

「あ、あんたさっきの...」

「ほら花凛、自己紹介!」

「アタシは 葵 花凛 (あおい かりん)」

「わたしは 屶禎 実羽! (たなさた みわ)」

「「よろしくね!」」

「え、えっと、私は」

私も自己紹介しなきゃ...!!

「知ってる!!

糸菜ちゃんでしょ??」

うわぁ、実羽ちゃんが天使に

見えるよ...!!

「覚えててくれてたんだ...!!」

「当たり前じゃん!!

よろしくね!」

「よ、よろしく!

葵さん、屶禎さん...!」

「友達なんだから、

花凛と実羽でいいよ(笑)」

そう言ってクスっと笑う

花凛ちゃん。

あぁ...

友達かぁ... 私は

何度、この響きに憧れただろう。



「よ、よろしくね...!」

今日、私に友達ができました。