まだ、そんな遠くへは、行ってないはずだ…。

俺は、会場を出て周りを見渡す。

「未来……」

俺が見つけた未来の姿は、もう既に知らない男に抱きしめられていて…動いていた足を止め物陰へと隠れる。


こんなに、近くにいるのに…

すぐ手を伸ばせる距離にいるのに…

抱きしめてる相手が俺じゃない事に歯痒さを感じる。


でも、元はと言えば俺が最初から守備的な考えで未来を傷つけたせいなんだ…

今、未来が流してる涙の理由が俺かも知れないって、自己中に舞い上がっていたけど…

同時に、その考え方だと俺が未来を傷つけて泣かせたのと一緒な訳で。