佐藤さんにお礼を言って車に乗ると、既に車の中で座っていたお爺様が口を開く。
「…実家に百合奈が来ている。粗相のないように」
百合奈?誰だそれ…
あ、許嫁って事になってた女か。
わざわざ前もって俺に注意するために迎えの車で待機していたって事は、相当俺への信用が無いか、相手が相当権力を持つ奴の娘かの二択だな。
どちらにせよ、今のままじゃ状況は、よくない。
どうにか自然に相手に嫌われないとな…
頭の中で方法を練っていると、いつの間にか実家へと到着し、お爺様が先に車を降りる。
結局、良い方法は、見つかんねーな…
俺は、小さく溜息を吐きながらお爺様の後に続く。
って……未来!?
こんな所に居るはずのない存在が俺の顔を見て、大きな目を見開いて俺に近づいてくる。
未来を想いすぎて幻覚まで見るなんて、俺は、かなり重症らしい。

