坂元世那の本性を知ってから一ヶ月ほどたった。


あの事件がおきてから私たちはほぼ言葉を交わしていない。


前回の定期試験で世那くんは学年1位の成績を誇った。 私は2番だったがその差は大きくて悔しい思いをした。

やっぱり知りたい。世那くんへの興味は消えるどころか増していた。

ある日の部活中のこと、
世那くんが入って割と慣れ始めた時に毎年行われている大会があった。

その選抜で何人か選ばれたがその中に私や世那くんもいた。

『負けたくない』と思った。


当日ーーーー


私たちの高校は出場する選手が少なく控えも多かった。

世那くんは精神を集中させているように見えた。

『しっかりやるところはやるんだ。』

「何じろじろみてんだよ」

サッと目をそらしたがすでに遅く目はバチッとあってしまった。


「別にいいじゃんもう。うるっさいな」

「聞こえてる」

出場前にイライラさせられた。

世那くんの番が近づいてきて準備に取り掛かっている


「お前が出る幕はないよ。俺が全部見せ場とってやる」

そう吐き捨てられた。本性がすこし現れた言葉だった。


フッ


後ろで鼻で笑ってらみせたが振り返らずに真っ直ぐ歩いていた。