私はその日から世那くんと少しだけ話すようになった。
彼も中学で弓道をしていたみたいで話が盛り上がった。
しかし、世那くんはずっといつもの嘘くさい笑顔で話していてなんだか不快だった。
しかも一向に私に関しての好意を感じられなかった。
いつもなら男の人はすぐ私を見ればふあっとして顔がポッと赤くなるはずなのだ。
そして、だいたいは落ちてしまう。
なのに世那くんはずっと平行線上のままなのだった。何も考えている様子がない。
そんな彼にそそられた。本性を引き出したくなったのだ。
『どうしたら世那くんの本当の顔をみれるのだろう』
そう考えて考えているうちに一つの答えが導かれた。
『私を好きにさせる』
そうすることで本当の坂元世那を知ることができる、 そう思ったのだった。
